2012年

12月

26日

37)摩訶大将棋の特徴:踊り駒(続き)

投稿36)の続きです。

 

3)猛牛・飛龍
3目踊である金剛(四方)・力士(四角)の、2目踊バージョンが、猛牛(四方)・飛龍(四角)と考えるのが自然です。ただ、象棊纂圖部類抄には、猛牛・飛龍については直接の記述はありません。関連する記述が、驢馬の箇所にあり、次のとおりです。

 

上下踊二目不踊一目、如猛牛

 

2目を踊る、1目をば踊らず、が順当な読みとなります。なぜ、「猛牛の如し」なのかですが、猛牛が上下左右の2目踊り、驢馬が上下の2目踊り、ということで納得できます(*注1)。

 

ところで、飛龍の方ですが、関連する記述は中将棋の箇所に出てきます。

鳳凰飛角、不如飛龍

とあります。

 

鳳凰は四角に2目跳ねる駒、一方、飛龍は四角に2目踊る駒、と考えれば、不如飛龍の意味がはっきりします。鳳凰はななめ1目にある駒(敵も味方も)を越して進みますが、飛龍は着地点は同じでも、越した敵駒をとることができます(つまり、これが踊りの特徴です)。鳳凰はjump、飛龍はjump and eatの駒です。

 

古文書には、飛龍がななめ1目に進むことができないとは書いていませんが、
1)猛牛と飛龍が対応した関係にある(金剛と力士の対応関係と同じ)
2)猛牛が1目に進むことができない
この2点から、飛龍はななめ1目に進むことはない、と解釈できます(*注2)。

 

まとめますと、次のような記述があったとしてもおかしくなかったと考えています。
猛牛:四方踊二目不踊一目
飛龍:四角踊二目不踊一目

 

------------
*注1:驢馬は、この箇所では踊りと書かれていますが、別の箇所では跳ねると書かれています。現状、驢馬を2目越しの駒と考えています。

*注2:平安大将棋の飛龍の動きは、二中歴には「四隅超越」と表現されています。以下、根拠のない話しではありますが、摩訶大将棋の飛龍と着地点は同じで、しかし、まだ踊りの概念が作られていなかったのだろうと想像しています。

 

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コメント: 8
  • #1

    長さん (木曜日, 27 12月 2012 15:18)

    上の文を読み、
    上の本文で
    「鳳凰はななめ1目にある駒(敵も味方も)を越して進みますが、
    飛龍は着地点は同じでも、越した敵駒をとることができます」
    と書かれた所がありますが、
    「鳳凰はななめ1目にある駒(敵も味方も)を越して進みますが、
    飛龍は、同じくななめ1目にある駒(敵も味方も)を越して進み、
    そして着地点は同じでも、越した敵駒をとることができます」
    とでも書かないと、飛龍は、ななめ1目にある味方駒を越して
    進めるのかどうか、今から200年後の平成224年の古文書の
    解読者にとっては、任意性が出ると感じました。直線大動きの
    駒は一般に、相手の駒が有るときは何々、味方の駒が有るとき
    は何々で、「自由飛び越え」のうちの、何が制限されるのかを
    示す事によって、駒の働きのルールが表現され、何となく今の
    我々の言葉の感覚の「踊り」は、「跳び」より「複数歩み」
    なので、こう書かないと、他のところで論じていても危ないかも
    しれないですね。

     簡単に駒の動かし方を書いている古文書から、厳密なルールを
    抽出するのが、難しい事だと言う事だけは、たぶん正しい事だと
    上の事から感じます。

  • #2

    T_T (木曜日, 27 12月 2012 22:26)

    ご指摘ありがとうございます!
    だいぶ対局慣れして、駒の動きが自明となってしまってました。

    「踊り」という単語ですぐ伝わるよう、定義をきちんと書くのがベストかもです。

    2目越し:
    2目の位置に飛び越す。このとき、敵味方を問わず、その間にある駒を飛び越すことができる。

    2目踊り・3目踊り:
    2目または3目の位置に飛び越す。このとき、敵味方を問わず、その間にある駒を飛び越すことができる。
    また、飛び越した敵駒はとることができる。

    実は、jump(飛び越す)、jump and eat(飛び越して敵をとる)という表現が気に入っています。踊りの説明の1~2行目がjump、3行目がeatになります。jump=越し、jump and eat=踊り、です。まだ全部の説明を投稿していませんが、摩訶大将棋の踊り駒と越す駒を一覧してみます。ここに、踊り・越しの方向情報が入れば、駒の動きの説明となります。

    踊る駒:狛犬・金剛・力士・羅刹・夜叉・飛龍・猛牛
    越す駒:麒麟・鳳凰・桂馬・驢馬

    ところで、象棊纂圖部類抄では、師子も踊り駒です。ただ、不正行度という考え方がはいるため、上の定義では師子の踊りは捕捉できていません。師子も含めた定義となると、投稿36)の定義(1手で複数個の駒を取ることができる)しかないと思います。

  • #3

    mizo (木曜日, 03 1月 2013 11:41)

    遅れてのコメント恐縮です。

    「また、飛び越した敵駒はとることができる。」
    これは、納得できないご意見です。

    将棋類は、
    「相手の駒の位置に移動できる駒は、その相手の駒を取り去り、その場所に進めることができる。」
    です。
    例外は、「獅子」と「飛鷲」「角鷹」のみだと思います。
    これも飛び越すのではなく、2回移動を認めてことに起因すると思います。

  • #4

    T_T (金曜日, 04 1月 2013 00:18)

    将棋の定義がそう規定されているのだとしますと、中将棋や大将棋は別種のボードゲームとしてみなすべきかも知れません。中将棋の獅子、飛鷲、角鷹は2枚とることができますので、踊りですし、摩訶大将棋の狛犬、金剛、力士は3枚とることができますので、踊りです。踊りのあるなしで、将棋か将棋でないかを分けるということになるのではと思います。

    象棊纂圖部類抄の記述からは、獅子と同様、狛犬も複数個とることができると解釈せざるを得ません。狛犬が飛び越えた駒を取るという表現は、1目づつ直線的に3回進んでそこにあった敵駒を取る、といってもかまいませんが、実質は同じですので、飛び越した敵駒はとることができる(jump and eat)という表現の方を選びました。

    表現だけの問題のように思うのですが。。。

  • #5

    mizo (金曜日, 04 1月 2013 22:28)

    ちょっとしつこいですが…
    狛犬の前方に、味方の駒、敵の駒A、敵の駒Bがあった場合、

    ①飛び越した駒を取ることができれば、
    敵の駒Bの位置に狛犬を進め、2枚取ることができます。

    ②1目ずつ3回進むことができる場合は、
    味方の駒が邪魔してその方向には進めません。

    蛇足ですが、③私見の24箇所のいずれにも移動可であれば、
    敵の駒Aの位置かBの位置に狛犬が移動し、そこにあった駒1枚を取ることができます。

  • #6

    T_T (土曜日, 05 1月 2013 00:19)

    言葉足らずだったかもです。以下、詳しく書きたいと思います。

    3目踊りを「1目を3回動く」と言い換えた場合ですが、味方の駒の上も進むことが可能という前提です。これは師子を「玉将の動きを2回」と言い換えた場合の比喩と同じです。例として、師子のななめ方向だけに進む正行度のときを考えてみます。1)味方、敵とあった場合、味方を乗り越えますし、2)敵、敵とあった場合は2枚とることができます。つまり、1)2)とも、飛び越えた敵の駒を取ることができる、と言えますし、1目を2回動く、と言うこともできます。

    狛犬の動きを説明した箇所は、「踊り」とは何かを解く上での重要なキーです。象棊纂圖部類抄には、狛犬について、以下の2つの記述があります。

    A:
    四方四角踊三目其中一目二目随要テ仕之如師子
    但獅子踊二目不正行度狛犬踊三目八方正行度ス

    B:
    二四目ヲツカウ
    筋ヲ正シテ八方ヲツカウ也
    師子モ二四目狛犬モ使之師子ノ如シ但シ師子十六方ヲツカウ
    是ハ四方四角三目ヲトル其内或ハ一目モ二目モ用ニ随テツカウ

    A、Bのどちらの記述からも狛犬は24箇所のどこにでも行くことができることがわかります。ただ、これだけの機能だとした場合、「師子ノ如シ」という箇所の説明がつきません。正行度、不正行度の語句の解釈も飛ばしたことになります。もし師子が16箇所のどこにでも行けるだけ(2枚とることができない)の駒とした場合、狛犬はmizoさんの解釈どおりで問題ないように思います。

    師子は不正行度の踊りですので、jump and eatとは言いにくいですが(jumpは1直線の動きのイメージです)、他の踊り駒は、jump and eatというイメージでよくあっています。対局のときにも、jumpして駒を取るという感じで手を読んでいます。

    本将棋では、着地点の駒をとることになりますので、取って取られて取って・・・、という読みをしますが、踊り駒のある摩訶大将棋では、jumpして取られる場合がありますので、本将棋のような読みだけですと読み誤ってしまうことがあります。また、踊り駒は味方の駒を越してある位置に利かすことができますので、ある1目に敵味方合わせて10個ほどの駒が利いていることも珍しくありません。後日、具体的な盤面を例にとって、この様子を解説したいと思います。ともかくも、踊り駒が摩訶大将棋の面白さの一因となっていることは間違いありません。

  • #7

    mizo (火曜日, 08 1月 2013 23:52)

    くどいと思われるかもしれませんが、私の考えとの違いを明らかにしたいと思います。
    「もし師子が16箇所のどこにでも行けるだけ(2枚とることができない)の駒とした場合、狛犬はmizoさんの解釈どおりで問題ないように思います。」
    私の考えは、2段階になっています。
    第一段階:もともと獅子は24箇所のどこにでも進める駒であった。(桂馬は2箇所しか進めませんが、同じ発想です。)
    第二段階:説明の都合上、玉将の動き2回という動きが創案された。(他の将棋類の駒の動きにはない強力な動きです。強すぎますが…)
    結果:第二段階の動きが中心となり、「二枚取り」、「居喰い」、「じっと」などの特殊な動きが生まれた。化石的に駒を飛び越して2周目の16箇所に直接行く動きも残った。(味方の駒が邪魔している場合など)

    狛犬から一直線上に、味方の駒A、敵の駒B、空きCの場合
    先生のお考え(1目3回、自分の駒を通過できる)の場合
    Cに移動し、途中のBの駒を取れることになります。
    私の考えでは、Bに移動し敵の駒を取るか、Cに直接移動し敵の駒を取れないことになります。

  • #8

    mizo (日曜日, 31 3月 2013 22:48)

    訂正します。

    狛犬の動きを説明した部分は
    「四方四角踊三目其中一目二目随要テ仕之如師子」
    新しい私の解釈
    四方四角(つまり八方)に三目踊る。
    (24箇所に直接移動できる。一回の動き)
    その中の一目二目を獅子のように自由に使うことができる。
    (踊る範囲を獅子のように分割して使用できる。獅子は二目を一目2回に分割。狛犬は、三目を、一目移動3回、一目移動と二目移動、二目移動と一目移動のようにできる。)

    これにより、連続して3枚ある場合順番に3枚取ることができる。
    居喰いもできる。

    狛犬から一直線上に、味方の駒A、敵の駒B、空きCの場合
    1回目の動きでBを取り、続けて一目移動を行い、Cに行くことができる。Bを取ってその場に止まることもできる。味方の駒を取ることはできない。