26)興福寺の習書木簡:横行の駒? 卆の駒?

習書木簡(奈良県立橿原考古学研究所付属博物館)
習書木簡(奈良県立橿原考古学研究所付属博物館)

先日、橿原考古学研究所附属博物館に行ってきました。いい博物館でした! 

 

興福寺の出土駒が常設展示されています。写真撮影とWeb掲載の許可をいただきましたので、1枚、有名な習書木簡の写真、右に置きます。実物はやはり迫力です。何しろ1000年前に書かれた文字ですから。

 

この習書木簡には、歩兵、金将、酔像の3つの駒の字があると発表されています。酔象の駒は酔像だという解釈のようです。本の中の写真で見たことはあったのですが、そのときは、わかりにくいこともあり、酔像の文字がどこに書かれているのかは確認していませんでした。展示の前ではかなりじっくり何度も眺めました。

 

酔像(酔象)の文字は、酔は何とかわかりますが、像の方は思い込みが必要です。酔像の駒があるという解釈以外に、次の2つも可能かも知れません。

 

1)横行が書かれている可能性:
酔像よりもさらに不明確ですが、この場合、二中暦に記載のある駒ということで。

 

2)卆が書かれている可能性(酔の右だけを一文字と解釈):
木簡には、7、8個の歩兵が書かれています。歩兵に相当する、象棋の卆の駒も2個含まれているという解釈です。卆の下に象の駒も書いたことになります。将の駒もあります。

 

2)の方が面白そうです。象棋が伝来してきたちょうどその時代に、若い僧侶が将棋と象棋の駒の字を取り混ぜて書き遊んでいた、という風景でしょうか。酒田市で出土した「兵」の駒も象棋由来かも知れませんが、こちらとの関連も見えてきます。「卆」の駒は出土されないでしょうか。

 

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コメント: 4
  • #1

    mizo (月曜日, 17 9月 2012 08:45)

    習書部分は別として、駒は将棋型です。象棋は円型以外の駒の報告は無いようですが、いかがでしょうか。

  • #2

    長さん (月曜日, 17 9月 2012 10:22)

    よく判りませんが、「酔像」は、その写真だと、「○横」
    に見える左の方の字の、右隣でしょうか?

  • #3

    T_T (月曜日, 17 9月 2012 10:54)

    mizoさんへ
    象棋の駒の出土ということでなく、象棋の字が書かれた五角形の将棋の駒ということで、酒田駒の「兵」を想定しました。「兵」があるなら「卆」もあるかと。どちらかというと酒田市での出土の方です。

    横行という説も、卆という説も、木簡の解読という点からはかなり飛びすぎです。ただ、酔象説がある程度受け入れられているとして、では、こちらの方はいかがでしょう、という問いかけとして捉えてもらえたらと思ってます。習書木簡に横行や卆の字はあるでしょうか。将棋の歴史は手がかりが少なく、だから逆にいろいろ好きに言うことができ、邪馬台国を議論するような感じがあります。

    僧侶が木簡に歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、歩兵、と書いて、卆、卆と書いている風景を思い浮かべてみました。将棋はそのときすでにあったのかどうか。

    長さんへ
    酔像に相当する部分は2箇所あります。ひとつめは左上部分で、酔があり、像は左の人偏だけが読めます。ふたつめは、酔も像も見えますが、像の字の右の象が多少違っています。歩兵の兵がほぼ全部ちがってますので、この点は許容すべきかも知れません。問題にされている箇所はふたつめの箇所だと思います。横の字があるとみる場合、横の右の黄の部分と、酔の左の酉がダブルことになります。

  • #4

    長さん (月曜日, 17 9月 2012 12:55)

    了解しました。字を書いた上に、又字を書いたようですね。