14)牛肉と馬鈴薯: 国木田独歩

国木田独歩の書いたものは日記を含め全部読んでいます。そのうちのひとつだけを選ぶとすれば、やはり牛肉と馬鈴薯ということになるでしょう。


国木田独歩で一番有名なのは「武蔵野」です。当時使っていた教科書にも「武蔵野」は入っていましたが、そのときには全く何も思わずです。もちろん読まないままになっていました。そのころ僕は、何と言うか、元気でしたから、原始的自然だけが自然だと考えていました。たとえば、南アルプスの山について言うなら、きれいな山道があればもうそれは自然の山ではなくて、赤石沢ぐらいでないと自然とは呼べないという考え方でした。だから、武蔵野の自然には全く何も興味がなかったと思います。


国木田独歩で一番最初に読んだのが、牛肉と馬鈴薯です。高3の夏でした。牛肉と馬鈴薯の主人公の自然観が(つまり国木田独歩の自然観なわけですが)、自分のとよく似ていたのかも知れません。とても感動しました。本稿、本はレトロ確定のはずです。国木田独歩の小説が好きという人、今いるんでしょうか。


同じような感じの短編が、「空知川の岸辺」です。牛肉と馬鈴薯がいいなら、空知川の岸辺もいいはずです。国木田独歩ファンになる必要条件は、武蔵野が好きというよりは、北海道好きということかも知れません。

 

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コメント: 3
  • #1

    hw10a009 (土曜日, 27 7月 2013 14:35)

    読みました。
    なんてお腹が空く本なんだ!というのが第一印象です。
    ビフテキやオムレツなどの一文が眼を惹き、なんだか今まで堅苦しさを感じて読んでいた本とはまったく別の印象を受けました。ですが会話文が多くて読むことに苦痛を感じる類の本ではありませんでした。

  • #2

    かけそば (日曜日, 28 7月 2013 00:47)

    かなり難しい本だと思います。まず僕はタイトルの「馬鈴薯」すら読めなかったので100%理解するのは難しいと感じました。
    内容は倶楽部の食堂で紳士たちが集まり話をしていて話題に「理想と実際は一致しない」という話から派生していくものです。
    作中にもあったように「びっくりできる人になっりたい」という部分は僕には何のことを表しているのかを把握できなかったので、もう少し教養を付けたときにでも読み直してみたいです。

  • #3

    リンゴ (火曜日, 06 8月 2013 12:35)

    難しそうなイメージの本でしたが、会話文の部分が多く、読みやすい作品でした。美味しそうな食事の話をしつつ、現実と理想から始まる難しい話へと流れていく、2つのバランスがとれた面白い本だと感じました。