210)薬師如来の呪力の一例:洪水を封じる

本稿、直接には、摩訶大将棋には関連しません。しかし、投稿208)の短文だけで、薬師如来が大地震を封じる呪力を持つということを信じてもらえるのかどうか。この点たいへん気がかりです。薬師如来がそういう強大な呪力を持つからこそ、将棋全体が薬師信仰である摩訶大将棋も、遊戯神通という修法をもって、大地震を鎮めることができることになります。遊戯神通については、投稿207)を参照下さい。

 

前提として、まず、薬師如来には天変地異を鎮めるほどの呪力があるのだということを信じてもらわないといけません。薬師如来のもつ呪力を信じてもらった上で、はじめて、投稿208)の内容も納得してもらえるでしょう。

 

本稿、薬師如来の呪力の一例として、洪水を封じる力について書きます。古代日本では、薬師如来は本当にそういう大きな呪力を持っていました。

 

たとえば、次の文献を参照下さい。本稿で取り上げたい件がたくさん書かれています。

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中野玄三、木津川流域の薬師悔過とその仏像、國華 第1348号、5-21、2008.

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この文献で取り上げられている中で、1件だけ、阿弥陀寺の薬師如来を例として取り上げます。阿弥陀寺は京都府城陽市にあります。阿弥陀寺の紹介ですが、たとえば、次のWebサイトを参照下さい。

kanagawabunkaken.blog.fc2.com/blog-entry-66.html

 

阿弥陀寺の位置(木津川のそばです)や周辺の様子も重要ですので、下に地図を置きました。上の文献にも詳しく書かれていますが、木津川の洪水要注意点にあります。ちょうど、木津川が流れを南北から東西方向に変える場所です。

 

(2017.03.18 23:55) 

 

地図上の赤い印が阿弥陀寺の場所(地図データ: Google Map)。
地図上の赤い印が阿弥陀寺の場所(地図データ: Google Map)。

 

 

阿弥陀寺の薬師如来は、かつては、阿弥陀寺の東隣の天満宮社にありました。薬師如来は南向きに、木津川を睨むように置かれていたということです。つまり、木津川の洪水鎮圧を薬師如来の呪力に頼っていたわけです。古代の交通の要所だった木津川の流域には、この他にも、多くの薬師如来のお寺があります(上記文献参照のほど)。

 

ところで、薬師如来の姿も重要です。迫力のある、大きい写真を見る場合は、次の文献を参照下さい。 平等院と南山城の古寺(日本古寺美術全集15)、集英社、1980.

 

投稿208)にて、明月記に書かれている洪水と大将棋の対局のことを取り上げましたが、これは、本稿で取り上げたように薬師信仰から来ているものと考えることができます。天変地異を鎮めるという祈願が薬師信仰に基づくものであるとすれば、それを執り持つのが薬師如来像であり、摩訶大将棋であるということになります。薬師如来像の場合は、リアルな実体としての仏像ですが、摩訶大将棋の場合は遊戯という抽象的なものが呪術の仲介をしています。このとき、薬師如来像が素晴らしい立派な彫刻として作られていなければならないのと同様、摩訶大将棋も遊戯として十分面白くなければなりません。そして、それはその通りなのです。

 

地図上の赤い印が阿弥陀寺の場所(地図データ: Google Map)。
地図上の赤い印が阿弥陀寺の場所(地図データ: Google Map)。

 

 

阿弥陀寺の薬師如来は、かつては、阿弥陀寺の東隣の天満宮社にありました。薬師如来は南向きに、木津川を睨むように置かれていたということです。つまり、木津川の洪水鎮圧を薬師如来の呪力に頼っていたわけです。古代の交通の要所だった木津川の流域には、この他にも、多くの薬師如来のお寺があります(上記文献参照のほど)。

 

ところで、薬師如来の姿も重要です。迫力のある、大きい写真を見る場合は、次の文献を参照下さい。 平等院と南山城の古寺(日本古寺美術全集15)、集英社、1980.

 

投稿208)にて、明月記に書かれている洪水と大将棋の対局のことを取り上げましたが、これは、本稿で取り上げたように薬師信仰から来ているものと考えることができます。天変地異を鎮めるという祈願が薬師信仰に基づくものであるとすれば、それを執り持つのが薬師如来像であり、摩訶大将棋であるということになります。薬師如来像の場合は、リアルな実体としての仏像ですが、摩訶大将棋の場合は遊戯という抽象的なものが呪術の仲介をしています。このとき、薬師如来像が素晴らしい立派な彫刻として作られていなければならないのと同様、摩訶大将棋も遊戯として十分面白くなければなりません。そして、それはその通りなのです。