220)摩訶大将棋の地理の駒

引き続き、また引用です。本稿は今日書いたものではありません。地理の駒の話ですが、以前の投稿208)投稿209)投稿210)でも取り上げています。

 

------(以下、引用)

摩訶大将棋を将棋の起源とする考え方で,直観的に最もわかりやすいのは,各将棋の最下段に注目することである.図1に示されるとおり,各将棋の最下段の右側の並びは次のとおりである.

 

玉無金銀銅鉄香: 摩訶大将棋

玉金銀銅鉄桂香:   大将棋

玉金銀銅鉄桂香:    平安大将棋

玉金銀桂香:      平安将棋

 

平安将棋が起源であり,玉金銀が財宝あるいは仏教由来だとするのであれば,将棋が大きいサイズへと順次発展していったときに,銅と鉄を加え,石を加え,瓦と土を加えるという発展の仕方は考えにくい.当初の趣旨とは異なる駒名を追加し,しかも,より弱い駒を追加することで新しい将棋を作っていることになる.逆に,原初の将棋にはもともと,玉金銀銅鉄瓦石土の駒,つまり,地面の下の駒がずらりと並んでいる方が自然であろう.象戯圖の序文冒頭では,これらを上段にある天文の駒と対比させて,地理の駒と称している.

 

では,原初の将棋に地理の駒を並べた理由は何だったのか.この答えに,将棋が呪術であったことの一端が見える.地理の駒は地面を鎮めるための呪具,将棋を用いて大地震鎮圧を祈り,洪水を鎮めようとしたのである.