日本古代の将棋は、原初の摩訶大将棋から31枚単位で駒が減っていきます。下図に示されるとおりです。したがって、摩訶大将棋よりも小型の将棋では、古文書で伝わった将棋の他には、まだ見ぬ将棋、幻の将棋といったものは存在しないでしょう。では、31枚とは何なのか。これは、将棋の持つ呪術性から説明することができます。
なお、大大将棋は摩訶大将棋よりも後で成立しますが、駒の数は同数です。しかし、摩訶大将棋から31枚の駒を取り除き、31枚の新しい駒を追加していることに注意して下さい(猛虎等、同じ発音の駒は同じものとしてカウント)。問題は、最後の段階の平安将棋ですが、やはり、31枚を取り除いたのだろうと思います。つまり、平安将棋の駒数は37枚だった可能性もあるでしょう。その1枚だけあぶれた駒を、盤の上に置いたのかどうかです。その駒は酔象です。
以上の件は、もちろん、前稿243)で書きました大型将棋の将棋盤のサイズの問題とも関連しています。ここまできちんとしたシナリオのもとに、将棋が発展していったとは思いもよりませんでした。